ある日の食卓

1人で食べたいけれどもまだ思うようにスプーンを使えない次男は
右手にスプーンを持って、左手で手づかみで何でも食べようとする。
「スプーンで食べてちょうだいね。」
「うぷー(スプーン)」と言ってスプーンを持ち上げて、これでしょ?と微笑む次男。
「そうそう、そのスプーンで食べれるかな?」
「こうこう」スプーンでご飯をすくって、すくったご飯を左手でつかんで食べる。
私の言っていることはきちんと伝わっているようだ。
でも今は左手で食べる方が食べやすいのだろう。
こうやって段々とスプーンを使うことに慣れていってもらうしかない。


壬生菜のお漬け物に入っているトウガラシが気になる長男。
「ぼくトウガラシどんな味か気になるな〜。ぼくもう5歳だし、もう食べれるようになったかも。」
「じゃあトウガラシ、ちょっと舐めてみる?」
「いいの?うん、ちょっとだけ舐めてみる!」
「辛くて痛いと思うから、ちょっとだよ〜。」
そーっと舐めてみて、びくっと舌をひっこめてあわてて水を飲む長男。
「・・・」
「どうだった?」
「痛ってなった!トウガラシは痛いね、やめとく。おいしくないね。」
「ね、食べない方がいいでしょう。でも、お漬け物にひとかけらトウガラシが入っているから、
 このお漬け物ぴりっとしておいしいでしょ?」
「このぴりっとしておいしいのは、トウガラシのおかげなの?
 すごいね、トウガラシってすごい能力があるんだね!」
そうか辛いっていうのは能力だったんだ・・・!


たくさん入っているままお味噌汁を飲み干そうとした次男が、
上を向いた顔に上からお椀をガバッとかぶって、
呆然としている。
「お皿は上向けたまま飲んだ方がいいね。」
神妙にうなずいて、空のお皿を上に向けて食卓に置いた次男。
「しゅんすけおりこうさんだね〜」と言う長男。
次男の服もイスもべちゃべちゃだが、
この時期は家や服が汚れるのも仕方ないと思えるようになった。
どうせ掃除するのは同じだから、
陰性感情を作るという無駄なエネルギーを使わない方が疲れない。


床をふいていると、
「見て!サツマイモスペースシャトル!」
長男は焼き芋の皮をところどころむいて、ロケットを作っていた。
「うわあ、ほんとにロケットに見えるね・・・」
「ここが窓で、ここが燃えてるところだよ♪ぼく何でも作れるんだ!」
「・・・サツマイモでも何でも作れちゃうんだね。」
お行儀よく食べてほしいんだけど、楽しそうだしどうしようかと思っていると、
「・・・でも食べ物で遊んじゃだめですね。」
と言って長男は食べ始めた。
「うんそうだね。でもさっきのほんとにロケットみたいだったね。」
「うん、とがってたからね!」


とろろ昆布をお箸でつまんで顔の上から垂らして、釣られた魚のようにして長男が食べている。
「それ、お行儀いいと思う?」
「うーんわからない。」
「じゃあ、お母さんが幼稚園で一緒にお給食食べるときに、
 そうやってあーんってとろろ昆布食べてたらどう?」
「嫌だ(笑)」
「そうだよね、じゃあそれはお行儀よくないってことだね。」
「あーそうか!」



次男はこれから1人で上手に食べられるようになるための練習中。
長男はお行儀よく食べられるようになるため、試行錯誤中。
私が陰性感情を使ってうるさく言わないで、
楽しく上手に食べられるように、一緒に練習できたらいいなと思う。
彼らは、不適切な行動をしようと思ってしているんじゃない。
適切な行動を知らないか、適切な行動がまだできないだけで、
成長と共にこの不適切な行動は消えていくだろう。
面倒くさいといえば面倒くさいけれど、
こうやって食事の仕方が話題にできる時間なんて、きっとごく短い。
日々の今の小さな困りごとが、懐かしい思い出になってしまう前に、
今の子どもたちの関心にもっと関心をもちたいなと思う。


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by Inahoadler | 2016-03-31 00:28
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