構えを変えた魔法

26日に倉吉エンカレッジの会の定例会に初めて参加した。
4人グループで、ケアミーティングの手法を使ったワークをした。
私が事例提供者となって、エピソードを聞いてもらったのだが、
たいへん勇気づけていただいてありがたく、
また、ワークで考えたプランがたいへん有効だったので、その効果を報告したい。


エピソードは、例に漏れず5歳の長男と私のやりとり。
屋内の子どもの遊び場に遊びに行っていた日のこと、
長男が見知らぬ子ども2人と追いかけっこをしていた。
どうやら戦いごっこをしているらしく、相手の1人は剣らしき棒で長男を叩いている。
長男はもう1人の男の子をつかんだり、叩いたりしている様で、
なんだか激しい戦いのようだ。
その子たちの知り合いの女性が私のところへ「叩くのをやめさせてください」と言いに来た。
その子たちのお母さんの話ならまだわかるんだけど、とか思いながらも
「こうすけ、1階に行っておやつ食べよう」と長男に声をかけた私。
長男は顔は真っ赤で汗だく、目はつり上がって、口はへの字で、完全にブチギレていた。
こんなブチギレ長男を見るのは、11月頃に家のドアを蹴りたおしていた頃以来だ。
長男は黙って私についてその場を離れようとするが、
また戦いは始まってしまい、子どもたちは走っていってしまった・・・。
困ったなあと思っていたら、その子たちのお母さんが「すみません、うちの子激しくって・・・」と来られたので
「いえ、こちらこそ、激しくてすみません」と言った。
お母さんご自身は子どもたちの戦いをあまり気にしていない様子なのでほっとした。
だって子どもの課題ですから・・・。
とはいえ、長男があれだけしつこく追いかけ回しているのも珍しい。
「こうすけ、1階に行こうよ」ともう一度うながすと、長男は黙ってついてきた。

1階のテーブル席に着いて、長男の座っているすぐ隣に私は腰を下ろした。
すると長男は、ひじで私をグイグイと押した。
相変わらず真っ赤に怒っている顔をしている。
私 「・・・あの子、知り合い?」
長男「ううん、知らない子。ぼく、カンカンに怒ってるんだ!」
私 「それは、誰に対して怒っているの?お母さん?」
長男「ううん、あの子。ぼくあの子嫌い。」
私 「そうなんだ。・・・おやつ食べた後、また2階に行ったらあの子に会うと思うけど、どうする?」
長男「え、叩く!だってぼくカンカンなんだもん!」
私 「うーん、・・・そうしたら、あなたの問題は解決するんですか?」
長男「・・・解決しない。」
私 「そっかあ。どうしたらいいだろうね。」
長男「・・・」
私 「あ、こうすけマーカー持ってきてたよね。折り紙の部屋に行くのはどう?」
長男「あ、そうだった!うん、塗り絵しよう!そしたら会わないですむもんね!」
長男の顔はぱあっと笑顔になって、穏やかになった。
それから長男はごきげんで折り紙の部屋に行った。


1階に降りてからの私と長男の会話に焦点を当てた。
支援対象者は長男で、
書記の方にエピソードを書き取ってもらい、長男の表情や服装などのイラストも書き込んでもらった。
長男はどんな子なのかを他のメンバーさんにもイメージしてもらえるように、色々と描写していった。
それからこのエピソードにタイトルをつけた。悩んだ末、「ぼく、カンカン!!」に決定。
次に長男の良いところと、(長男を取り巻く)環境の良いところを、付せんに書いた。
みんなで良いところを出し合って、関連するものどうしを集めて付せんを貼り付けていった。

長男のストレンクス
・元気!
・知らない子とも体をぶつけ合って遊べる。
・「怒っている」と冷静に自分をみている。
・自分の気持ちを言葉で母に説明できる。
・予測をして考えられる。賢い。
・母の話をよく聞ける。
・気持ちの切り替えが早い。
・好きなことがある。

私のストレンクス
・長男の話を聞いている。
・長男の側にいる。
・パセージを実践している。

などなど、たいへん嬉しい言葉をいただいた。
事例提供者になると、いつも長男や私のいいところを言ってもらえるので
とっても嬉しい(^^)

さて、このワークではここからが山場で、長男のなりたい理想像を描くという作業があった。
色々と話し合う中で、
長男はみんなで楽しく、何かを作り出すのが好きなのかな、という方向にまとまり、
「プロジェクトチームリーダー〜楽しいものを楽しく作ろう〜」という「キラキラ」が出てきた。
このリーダーは他のグループが何をしていてもあまり気にせずに、
自分の好きなことをメンバーにも楽しんでもらうことが大切みたい。
そして、自分が発案者、決定者のリーダーでなければならないみたい。
リーダーという役割と決めなくてもよいのでは、という意見もあったけれど、
いやいや長男はリーダーがやりたいんですよ、ということに私は気づいたのだった。

最後に、長男がこのキラキラに向かうために、私が具体的にできることは何か、というプランを決めた。
いつ: いつでも
誰が: 私が
何を: 「こうすけ、これはどうしたらいいかな?」と尋ねてみる。
プラン名: リーダー、これはどうでしょう?


ベテランアドレリアンさんのナイスアシストなどがあって、
かなりアクロバティックにうまくいったケースだとは思うけれど、
具体的なプランを考えるのはなかなかいいなと思った。





帰宅直後から、私はさっそく「リーダー、これはどうでしょう?」作戦を実行した。
私が帰宅して興奮して、なかなか食卓に着こうとしない長男。
かわいいなあと思いつつも、これでは食事ができず困ります。
(陰性感情を起こさなくなった私、ずいぶん成長しました・・・(笑))
「ねえねえ、ご飯食べたいんだけど、どうしたらいいかなあ?」
「あ、そうですね、じゃあ、ぼくがお味噌汁入れるよ!」
「わあ助かる!ありがとう!」

お風呂になかなか入ろうとしない長男。
「どうしたらお風呂に入れるのかな?」
「あと2回ボールを投げたら、パジャマを出して、入りま〜す!」

工作した後の段ボールやガムテープが床に散らばっている
「お部屋をきれいにしたいんだけど、どうしよう?」
「ご飯の後で片付けま〜す!」

こんなにうまくいっていいのか?!というほど、今のところかなりの効果がある。
ポイントは陰性感情を込めないこと・・・当たり前だけど。
長男は何を言い出すかな?とわくわくして尋ねているので、
長男は、私が自分に関心をもっているんだと強く感じてくれているようだ。
そしてやはりお兄ちゃん、相談されるのは嬉しいようす。
別に何でもないことでも、これまでのように私が決めるんじゃなくて、とりあえず長男におうかがいをしてみる。
そのうち「お母さんがご自分でお願いします」と言うようになるかもしれないけれど、
今はこのやり方で、彼のリーダーをしたいという気持ちが満たされているようだ。
数日このプランを続けてみて、私がリーダーを無意識的にやってきたということがはっきりわかった。
だからリーダーをめぐっての争いが、私と長男の間には密かにあったのかもしれない。
リーダーとフォロワーは横の関係。
私は一生懸命にこうすけリーダーを支えていこうと決めた。


工作ができたから見て!と呼ばれた私。
「しゅんすけが今お母さんの足の上でぐっすり寝てるから、今そっちに行けないんだけどどうしよう?」
「・・・ほんとだ、しゅんすけ寝てるね(^^)じゃあ、後で来てね!」
「うん、後で行くね、ごめんね。」
「・・・あのね、やっぱり持ってきた。ほらこれ見て!ウミガメ作ったよ!」
うん、いいアイディアがどんどん出てくるね。


今まで「お願い〜して」って言っていたのが、全部「どうしよう?」に変わっただけなのに、
私は、いつも長男の仲間だと思えるようになって、いつも長男の力になろうと思えるようになった。
一番いい答えは長男が知っていると、彼を信頼するようになった。
そして彼に対して、私の思うとおりのいい子になってもらいたいって思わないようになった。
だって彼は、私が思う以上に物事をよくわかっていて、いい子だから。
・・・これはいったい何なんだろう?
あのエピソードから、私の力では「彼はリーダーをしたい」ということは導き出せないように思う。
あのときかかったのは、いったいどんな魔法だったんだろう?


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by Inahoadler | 2016-03-29 01:58
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