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勇気づけ

今年の1月から、Adlerjala(アドラージャーラ)という子育てサークルを始めた。
アドラー心理学やパセージをこの地域に浸透させていくため、
やがてはパセージが開けるようになって、
パセージのフォローアップの会になれるように活動中だ。
パセージリーダーさんのFさんのご協力のもと、
今月に入ってからアドラー初心者のメンバーさんも入って来られた。

他のいくつかの子育てサークルに行ってみたときは
どうも気疲れがあるだけで楽しめなかったけど、
でもここはなんか全然違いますね、初めて来たのに不思議とすごく落ち着けます、
と2人の方に言っていただけた。
とても嬉しかった。
ここは、はじめて出会う人たちどうしも仲間だって思えるような場なんだと思えた。
これがゲマインシャフト。アドラーの目指した共同体感覚のある場所なんだ。
それが、アドラー心理学の自助グループの持つ特徴なのだろう。
勇気づけ合う関係が築かれている場なのだろう。

私自身はほぼ野生のアドレリアンというか、門前の小僧というか、
母がアドラー心理学を学び、実践しているのを見聞きして(ときには実験台になった)だけだ。
まだ無資格無免許運転である。
パセージやアドラー心理学を説くことを、許されてはいない。
そんな私を、あれよあれよとその気にさせてくださって、
自助グループ的なグループを立ち上げるように勇気づけてくださったのは
私が受講したパセージリーダーのFさんとRさんである。
そして今のところ大した事故を起こさず、
毎回深い学びのある会にできているのは、パセージ修了者のKさんのおかげである。

一体これはどうなっているのだろうか。
ただ、とてもありがたく感じるのは、私は望まれてここにいる、ということだ。
ものすごく強く、所属している!と感じる。ここは私たちの場所だ、と。
私は、私のしたいことをするのではなくて
私のすべきことをしなければならない。
慎重派の私としては、きちんと勉強をして
パセージリーダーの資格を取ってから自助グループを開きたかったのだが。
しかしこうして新しいメンバーさんにも繰り返し来ていただけて、
このタイミングで開かなければいけなかったのだなあと、
自分のお役目にノーと言わないで従ってみて、よかったと思う。




以前Adlerjalaで私と長男のエピソードをお話したのだが、
( エピソードの内容はこちらをご覧ください↓
 「あやしいにおい」 http://adlerjala.exblog.jp/22602308/ )
今日、長男が、そのエピソードを絵本にしようと言い出した。


少し前に長男は、私が文章を書く用事をたくさんしていることに興味を持ち、
「ねえお母さん、モモちゃんのママみたいに、ぼくとしゅんすけのことお話にして!」
と言ってきた。
モモちゃんのママというのは、彼の愛読書『ちいさいモモちゃん』
を書いた、松谷みよ子さんのことだ。
子どもの頃の私の愛読書でもあったけれど、親になってから読むと、
自分の子どもたちとのやり取り、子どもたちの成長を、
こんな風に童話にできたらどんなに素晴らしいだろうって、私も思っていた。
完全に私と長男の間で、目標の一致が取れた。
「うんできるよ!
 お母さん実は、こうすけとしゅんすけのお話、今も書いてるんだ。」
「ええええほんと?」
「うん。ほら今書いてるのも、実はあなたのことです(笑)」
「え?どれ?・・・わあ、ドラゴンごっこって書いてある〜!!
 じゃあね、お母さん、文章書いてね。ぼくは絵を描くから。
 それで、絵本にしよう!」
文章を書けるという私のストレンクスは、この日のためにあったのねと思えたほど、
私は長男の喜びように勇気づけられたのだった。


そして今日。
「ぼく、今日は絵本描くわ。目次と、絵はぼくが描くから、
 お母さんは空いたところに文章を書いてね。」
「わかりました!」
「第一章は、ガムテープがドロドロになったおはなし です。」
「わあ、あのお話絵本になるんだ!」
「うん♪まずは第一章から描くんだ〜」

しばらくして、長男は本のように貼り合わせた落書き帳の紙を持ってきた。
「見て!これは目次で、第一章の1ページ目は、これ。
 これがストーブで、このストーブの上の黒いのが、ドロドロのガムテープだよ。
 それで2ページ目は、お父さんとストーブの絵だよ。わかる?」
「うわあよくわかるよ!どんなお話を書くの?」
「えっとね、
 『あるひ、おかあさんがねていますと、
  むすこのこうすけが ガムテープをはじいて
  ドロドロになって、 ストーブのうえに のっかっていました。』
 2ページ目は
 『よる、おとうさんがかえってきて
  カッターで ガムテープをきりとってくれました。』」
「すごーーーい!!こうすけ、じゃあ今お母さん、ここに今の文章書いていい?」
「あ、そうだね、じゃあ書いて!」
こうしてこのエピソードは絵本になりました。

「すごいでしょ!え こうすけ ぶん (おかあさん)だね!」
「ううん、えとぶん こうすけ だよ!」
「え、でもお母さんが文章を書いたよ?」
「お母さんは書いただけだもん。文章をつくったのはこうすけだから、
 この絵本はこうすけが全部1人で作ったんだよ。」
「・・・そうなんだ!これ、お父さん帰ってきたらぜったいに見せてね!」

このエピソード、私がもう少しアドラーの修行未熟だったら、
長男を激しく勇気くじきしてしまっただろうものなのだ。
それが、長男にとってはいい思い出に変わっていることが
私には泣けてくるほどありがたいことだ。
そして、夫がまたストーブを使えるようにしてくれたことが
どれだけ長男を勇気づけたのかということにも気づかせてくれた。


このうれしい後日談を、次のAdlerjalaでお話ししたいなあと思っている。
きっとメンバーさんたちは、私と共に喜んでくださるはずだ。


by Inahoadler | 2016-03-18 22:47
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