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息子がピアノを毎日楽しく練習できるかどうかということは
私の勇気づけの腕にかかっていると、心してピアノを習わせ始めた。

私は幼稚園の年中頃から高校2年生までピアノを習っていて、
とても楽しく、充実した子ども時代だったと思っているので
昔から子どもにはぜひピアノを習わせたいなと思っていた。
でも、習い事を嫌々されたら私も嫌だし、習うなら続けてほしい。
そのためには相性の良い先生を見つけなければいけないけれど、
私の先生は遠方にいらっしゃってもうリタイアされていて、
私の自宅の習い事事情に私は疎いので、どうしようかと思っていた。

幼稚園の仲の良いお母さん方にピアノ教室の情報を聞いていると、
たまたまお友達のFちゃんのピアノの発表会があると教えてもらったので、
息子と一緒に聞きに行くことにした。

Fちゃんも年中で、その教室では一番小さい子なので一番目の発表だった。
かわいらしいドレスを着たFちゃんがぴょこっとお辞儀をすると
会場中に「かわいい〜♪」とささやき声が広がった。
息子を見ると、真剣なまなざしで舞台を見つめている。
Fちゃんは先生との連弾を一曲、自分1人で一曲を一生懸命に弾いて、
またお辞儀をして舞台を終えた。
息子は一生懸命拍手をして、
次々に発表するお兄さんお姉さんたちを熱いまなざしで見つめていた。
(時々次男が泣いたので私はホールの後ろの方へ行ったりしていたのだが、
 長男は1人でじっと座って、毎回一生懸命に拍手を送っていた。)

休憩時間が来て、「こうすけ、発表会どうだった?」と聞くと、
息子は「うん、いいね。ぼくも発表会したい。あのピアノ弾きたい。」と目を輝かせていた。
大成功だと思いながら、
「そうか。じゃあ、ここのピアノ教室で習おうか。こうすけも弾けるようになるよ〜」と言うと、
息子は「うん!」と言って舞台へ向かって駆けだした。
「あ、ちょっと待って!今日は弾けないよ」
「え?なんで?」
「えっと、今日はFちゃんたちの発表会だからね。
 こうすけもこれから教室でピアノ習って、来年の発表会に舞台の上で弾けるよ。」
「そっか・・・。早くあのピアノ弾きたいな〜」

それから、息子は優しくて素敵なピアノの先生のレッスンを受けるようになった。
ピアノを弾くのが楽しいらしく、ほんとうに良かったと思っている。
息子がピアノを弾く度に、「素晴らしい!」「わあ上手!」「左手がいいね!」と
勇気づけるようにしているのだけれど、
実は一番息子のピアノを勇気づけているのは、次男なのだと思う。

長男が一曲弾く度に、次男が小さな手でぱちぱちと拍手をするのだ。
それもものすごい嬉しそうな顔をして。
次男はピアノに合わせてときどき一緒に歌うし、
ピアノがないときでも長男の弾いている曲を歌うし、
泣いているときも長男がピアノを弾き始めると、泣き止んで嬉しそうに拍手するので
長男にとっては何よりの喜びのようだ。


先日、教室の1/3の人数でのミニ発表会があった。
残念ながら舞台上ではなくて練習室での発表だったけれど、
息子にとっては初めての舞台である。
堂々と、それもなかなかいい音を出して、いつものように上手に弾いて、
大きくなったなと嬉しく思った。
「こうすけ、すごく良かったよ!発表どうだった?」
「ぼく上手に弾けたよね。・・・次の発表会はいつ?」
発表は大変楽しかったようだ。
毎日拍手をもらっているから、たくさんの人に聞いてもらうのも嬉しいんだね。
しゅんすけも毎日ありがとう。




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by Inahoadler | 2015-11-06 13:38
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