主張的主張

次男のしゅんすけは1歳2ヶ月になった。
長男こうすけは1歳2ヶ月で卒乳できたので、次男もそろそろ卒乳をしたいところだ。
だが次男は生まれたときから身体が小さめで、
一時的に体重の増加率が良くない時期もあり、
そんなに急ぐ必要もないし、年内に卒乳できたらいいかなと思っている。
(実際、次男に対しての方が私は少し甘いのかもしれない・・・)

卒乳するために、まずは授乳の回数を減らそうとしているのだが、
卒乳がうまくいかないのは、子どもではなくて母親の方の問題だなと実感している。
次男はお乳がほしくなると、
私の目を見て「ぱっぱ!(おっぱい)」「どーじょ!(ちょうだい)」
ときちんとお願い言葉で主張してくれるのだ。
そして私の胸のあたりを叩いたり、服をめくろうとしたり、
あまりにかわいいので「そうか、ほしいんだね・・・わかった!どうぞ!」
と授乳してしまう。
授乳してもらえるとわかると、
次男はものすごく嬉しそうに笑って「ぱっぱ♪」と言って
ものすごく幸せそうに飲んでくれるので、
ああまだ卒乳なんかしなくていいか〜と思ってしまうのだった。

それでも卒乳に向けて頑張ってはいて、
日中はお腹が空いて「ぱっぱ」と言うときは、
食事の時間を前後させたり、バナナなどをあげたりしてごまかしているのだが、
昼寝の前や夜など、眠たいときの「ぱっぱ」に抗うのはなかなか難しい。



ある晩、壁際から長男、次男、私の並びでみんなでベッドに横になった。
次男の「ぱっぱ!」に応えて授乳をした。
ある程度飲むと、
次男は隣の長男の方に転がって行ってひっついて、
また私の方に来てお乳を飲んで、
また長男の方に行って遊んで、
私の方に来てお乳を飲んで、
と繰り返すようになった。
もう授乳しないでいいやと思って私は服を整えて布団をかぶった。
すると次男は「ん?ん?」と言ってお乳の催促をしている様子。
しかしいつものように「ぱっぱ」と主張的に主張するのではなく、
「ねえねえ、あれあれ、ほら、おかあさん、あれだよ」という感じで
非主張的な主張をしてきた。
だから私は罪悪感を抱くことなく「もうおやすみの時間だよ」と言って
授乳しないことに決めた。
次男は「ん!ん!」と私の服をめくろうとするがうまくめくれない。
そしてどうやら授乳してもらえないらしいと気づいて泣き始めた。
長男には悪いが、今晩は泣かせたまま授乳しないで頑張ろうと決めた。

次男はベッド中を転がって泣き叫んでいるが、
ベッドからは落ちないようにちゃんと加減をしている。
きちんと理性ははたらいているようだ。
10分ほどたったところで長男は爆睡した。ありがたいことだ。
30分たっても次男は泣き続けている。
かわいそうだけど、自分から口を離したわけだし、主張的に主張してくれなかったし・・・
と思って、ふと気づいた。
もしここで彼が冷静に判断して、「ぱっぱどうじょ!」と
主張的に主張したら今の私は授乳してしまうぞ、と。
ここまで泣かせておいて、いきなり態度を翻してはいけないだろう。
そこで、それまでは次男の体を優しくさすっていたのだけどそれをやめて、
彼に主張的にお願いされる前に寝たふりをすることにした。

だんだんと泣き声は弱くなり、1時間たった頃には次男は泣き疲れて眠っていた。
辛かったかもしれないが、もうお乳がなくても生きていけるようになったのだし、
お乳がなくても私たちは仲間だし、幸せに暮らしていけるからね。
こちらも辛いものがあるけれど、
主張的に主張されなかったから私は罪悪感という陰性感情を持たずにすんだ。
助かった。


その数日後の午前11時頃。
次男が「ぱっぱ!」と言って寝転がっていた私の上によじ登ってきた。
まだ昼食にするには早いし、バナナを食べさせるには中途半端な時間なので、
ごまかしきれない。
おそらく眠たくてほしいのだろうから、
主張的にお願いされたけれど今は断ろうと決めた。
「しゅんすけ、今はぱっぱなしね。もう少ししたらまんま食べようね。」
と優しくきっぱり伝えると、
次男は急に顔をくしゃくしゃにして、「ぱっぱあ〜!」と言って
ベッドに顔を突っ伏した。
そんな芝居がかったことするの!?と、思わず笑ってしまった。
「ほしいんだね、ごめんね。」
「っひくっ・・・っひくっ・・・」
なんとなくわざとらしく泣きまねしている様子の次男。
しかしかわいいので全然陰性感情がわいてこない。
するとお乳をもらえないようだと気づき、次男は本当に悲しくなって泣き始めた。
でも仕方がないので放っていると、だんだん激しく泣き出した。
何か音があったら気が紛れるかなと思って、
珍しく携帯でyoutubeを見ることにすると、
次男は気になったようですぐに泣き止んだ。

しばらく楽しく一緒に見ていたら、
次男ははっという顔をして、
大事なことを忘れていたという感じで「ぱっぱ!」と言った。
「ごめんね、今はぱっぱはなし。」と言うと、
また突っ伏して泣き始めた。
それでももらえないとわかると、
顔を上げて、横目で私をにらみ、ベッドから降りた。
何をするのかなとわくわく見ていると、
長男の作った工作を入れている段ボール箱に体当たりして、
乱暴に中の工作を放り投げ始めた。
八つ当たりである。
長男も気に入らないことがあると物に当たるけれど、
こんな小さいうちから次男も同じことするんだなあと変に感心してしまった。
それに、横目でにらまれてびっくりした。
長男は次男が壊してもいい工作だけをこの箱に入れているから心配もない。

しばらく暴れると次男は気が済んだのか、
お気に入りのぬいぐるみを見つけてご機嫌になり、私のところへ持ってきてくれた。
そして12時になったので、昼食を食べさせた。

これ以降、私は次男に主張的にお願いされても、断ることができるようになった。
次男はものすごく哀れそうに泣いたり、怒ったり、乱暴したりするけれど
どうやらお乳を与えなくても、何も問題はないようだ。
かわいそうだからと与えてしまうのは私の陰性感情を抑えるためなのだろう。
さて、卒乳できるのはいつになることやら・・・


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by Inahoadler | 2015-11-03 23:38
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