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夜の女王とパセージ

9月から10月にかけて、念願のパセージを受講した。
新しい仲間の輪が広がり、学びが深まり、
有意義な時間を過ごすことができた。
ご協力くださったみなさまにとても感謝している。


私は今回パセージを受けて、章が進むごとにどんどん
子どものことがかわいくてたまらないと思うようになっていった。
子どもが不適切な行動をしているとき、
今までは本気でイラっとすることがあったのだけど、
だんだんと、ああこれはこの子によくあるパターンだなと、
冷静に見れるようになってきた。
そして、陰性感情が起きると課題シートに書くネタができるので、
むしろ不適切な行動はラッキーだとさえ思えた。
課題シートに書くのなら、どうせなら前回とは違う対処をしてみようって思えたので、
様々なバリエーションでパセージを実践する努力もできた。
陰性感情を持っていても、なんだかこちらに実験していく余裕があるので、
子どもの陰性感情もそれほど大きくならないことが増えた。


子どもの不適切な行動は、
子どもにとっても好ましくない事態である場合が多いから、
より適切な行動を共に話し合って見つけられたら、
それは子どもを援助することになるんだと感じた。
その話し合い方が、パセージの要で、
でも頭でわかるのと現場で実践できるかは別ものだ。
とにかく場数を踏むこと、下手くそでも果敢に実践することが何よりだと思う。

ひとつひとつのエピソードについて、
こちらが丁寧に自分の行動を点検しながら
子供の話を聴いて、話し合っていくことが日常になると、
毎日の様々な事がらひとつひとつが、本当に愛おしく思えてきた。
この子はどんな人なのかな、何を学んでくれるのかな、
いつもそう思って暮らしていると
私の景色でしかなかった生活が、
子どもにとっては違う景色であることにようやく気づいた。
そしてそれぞれの景色に同じ意味づけをする機会が増えると、
私たちは共に生きているのだと、いつも嬉しく実感できるようになった。



2歳になった次男は、歯磨きがあまり好きではない。
6歳になった長男が同じ歳だった頃ほどに激しく嫌いはしないけれど、
歯磨きは夜の一大イベントである。
長男が歯磨きをして見せると、
(協力的なおにいちゃんに感謝!)
次男はぼくもしようかなと思ってはくれるけど、
口を開けてはくれない。

ある夜、
私は次男の歯磨きをしながら
「口を開けてください〜あー
♪あーあああああああああー
あーあああああああああー♪」
と、夜の女王のアリア(オペラ「魔笛」byモーツァルト)を歌ってみた。
2歳頃の長男の歯磨きのときによく歌っていたのを思い出したので。
歌の好きな次男は大喜びした。
ちょっとだけ口を開けた瞬間に、素早く歯ブラシをつっこんでちょっとだけ磨けた。
同じく喜んだ長男が、ぼく夜の女王のオペラ見たい!と言った。
夜の女王のアリア一曲だけ(3分強)ならいいよと言って、
3人で動画を見ると、子どもたちはいたく気に入った様子。
1日のテレビの視聴時間は1時間以内、というルールを長男と決めているので、
長男は「明日はテレビ見ないから、明日もっと夜の女王の歌見せて!」
と言った。
ほんとに交渉上手。もちろんOKした。

次の日、3人で夜の女王のアリアの動画を何本も見た。
中でも、Diana Damrauという歌手の夜の女王が気に入ったそうだ。

このアリアはソプラノ歌手の、コロラトゥーラという超絶技巧の歌で、聞き応えがある。
夜の女王の宿敵であるザラストロを殺せと、
夜の女王が、実の娘のパミーナに命令する場面だ。
パミーナは嫌がるが、
「殺さないのならもうお前は私の娘ではない!
母娘の縁を永遠に切るぞ!言うことをきけ!」
と迫る超絶オニママの夜の女王。

舞台も素晴らしいし、夜の女王の衣装もすごくて面白い。
Damrauは歌もたいへん上手いけれど、美しい上に演技も迫力があって、怖くて、いかにもな悪役ぶり。
次男もコロラトゥーラの部分を♪あああああーと歌うほどに気に入り、
3人で楽しく鑑賞し終わったとき、長男が言った。
「…ぼくのお母さんが夜の女王じゃなくて良かった(^^)」

…ほんとにそうですね(笑)
ザラストロを倒したいのは? ー 夜の女王の課題。
自分の課題を子どもの課題に押し付けてはいけません。
パセージで繰り返し学んだことだ。
しかも、夜の女王は母娘の縁を切ると脅して、
娘の話を遮って1人で歌いまくって剣を押しつけて去っていくので、
まったくパセージの悪いお手本だ。
パミーナはお気の毒…。(多分そういう話じゃないけど 笑)


その後、長男に私の課題を押し付けたくなるときは、
私は夜の女王のアリアにのせて歌っている。
♪お風呂に入りなさーい!早くお風呂に入りなさーい!
さもないともうお前は私の子ではなーーい♪
長男、大爆笑。


ここのところ毎晩、
夜の女王のアリアの動画を3人で一回見てから歯磨きをしている。
変わった親子だと思うけど、
一緒に楽しくオペラ鑑賞ができて、
一緒に楽しく歯磨きができて、
私はとても嬉しい。
それに夜の女王のおかげで、毎日パセージのことを意識させられる。
夜の女王も、ありがとう。


# by Inahoadler | 2016-10-31 13:50

隊員1号2号

あちこちへ大移動の夏休み。
母子3人で移動中の私の格好は、
もうすぐ2歳の次男(約11kg)を抱っこ紐で前に抱え、
キャリーを引っ張って、
肩にカバンをかけるという重装備だ。
炎天下はさらに気合いで日傘を差していた。
なので、長男(こちらも大きなリュックを背負ってヨロヨロ歩いています)が
私の隣を聞き分けよく歩いてくれないと大変困る。

移動中の大半は長男は機嫌よく、とても協力的で助かったのだけど、
やはりいつでもそういうわけにはいかない。


ある日。
都会の電車は路線が複雑だし、ひとつの電車でも行き先が車両によって違ったりして、
乗り慣れない私は緊張していた。
車内アナウンスを必死に聞き取ろうとしている私に、長男が何やかやと話しかけてきた。
私 「ちょっと今は黙ってて!」
長男「え、あのねお母さん」
私 「お願いだから今は黙って!」
長男「・・・」ふくれっ面をして、でも黙ってくれた。
私 「・・・この車両でいいみたいやわ。ごめんねこうすけ、静かにしてくれてありがとう。
   お母さんさっきの放送を聞いてたの。」
長男「そうなんだ、ぼくもそうかなって思ってたよ。」
私 「この駅から出るのはいろんな電車があるからね、お母さんもよくわからないねん。
   この電車は、前の3両がどこそこ行きで、後ろがどこそこ行きってホームでは聞こえてたんだけど、
   今乗ってる車両が前から何両目なのかわからなかったし、
   降りる駅にちゃんと行けるのかもわからなかったから、一生懸命聞いてたんよ。」
長男「ああ、前はなんちゃら行き後ろはなんちゃら行きって言ってたねえ」
私 「そうそう。ここに路線図があるでしょ。前の3車両はBの路線で、後ろの車両はAの路線に行くんだって。
乗ってる車両は7両目だからAに行くんだけど、
ほらAのところに降りるI駅があるでしょ。
だからこれに乗ってて大丈夫です!」
長男「へえーこれを見たらいいんだね。この電車はAとBに別れて行くの?すごいね。連結が外れるのかな?」
私 「そうかもね。このへんの電車はややこしいね。」
長男「そういえば前、途中で降りたことあったよね。あれは?」
私 「そうそう!あの電車はBの路線の電車だったんだよ。
だから、AとBに別れる前のY駅で降りて、A路線の電車に乗り換えたの。」
長男「あーそうだったんだ。それはそのまま乗ってたら大変だったね。でも今日も間違ってたら乗り換えたらいいじゃん。」
私 「うん。だから合ってるか間違ってるか、Y駅までに確かめなきゃってお母さんは必死だったの。怖く黙って!って言ってごめんね。」
長男「あーそうだったんだ。そりゃー大変だったね。ぼく必死になるのわかるよ!だってBの方に行っちゃったら、I駅に行けないもんね。」
仲直りもできてほっとした頃、I駅に近づいた。
すると近くの席で私たちの会話をにこにこ聞いていたおじさんが
「ぼうや、賢いなあ!お母さん、そこまでその荷物持ったるわ。」
と、キャリーを持って電車から降ろしてくれました。
ありがとうございました。

理由をちゃんと説明したら、このように長男はよくわかってくれるのだけれど、
いつもいつもこんなに理屈っぽく、彼の納得のいくように説明できるわけではない。



また別の日
駅のエレベーターに乗って、私が「『1』を押してちょうだい」と言うと
黙って『開』を押して、「あっ」とか言いながら『閉』を押す長男。
「『1』を押してちょうだい」
「…」(黙って『閉』を押している)
「私の声聞こえてる?」
「聞こえてる!」と不機嫌に言って、長男はようやく『1』を押した。
エレベーターを降りてホームに着くと、長男は私から離れたところで立ち止まろうとした。
困った…これから電車で1時間半の移動だ。
私の指示を聞いてくれないと危ないし大変だ。
私 「こうすけ、これから長い時間電車に乗るから、お母さんの言うことを聞いてくれないと困ります!
お外は危ないし、お母さんは荷物も多いから危ないことがあってもすぐに走れません。言うことを聞いてください!」
長男「…はあい」
長男は下を向いて嫌そうな顔をしている。
それもそうだよね、私陰性感情めっちゃ使ってるもんなあ…
そうだ、J先生の「船長さんの言うことは絶対です!」をお借りしよう!

J先生が長男をカヌーに乗せてくださったときに、
「船の上は危ないので、船長であるJ先生の言うことをきいてください。
船長の言うことは絶対です。いいですか?」
とおっしゃって、
こうすけ船員はノリノリで船長の指示に従っていたことを思い出したのだ。
あのときこうすけ船員は船長をたいへん尊敬し、たいへん協力的に働いていた。


私 「お外を移動中は、お母さんが隊長です!
おじいちゃんのお家に着くまではお母さんの言うことをきいてください!」
長男「お母さんが隊長?(^O^)」
急に目をキラキラさせる長男。よしうまくいった!
私 「そうです!そしてこうすけとしゅんすけが隊員です。
でも隊員2号のしゅんすけ隊員は、移動中は抱っこなのでお手伝いができません。
お手伝いができるのは隊員1号のこうすけ隊員だけです。よろしくお願いします!」
長男「わかりました!(^O^)/」
私 「こうすけがいろんなことできるのは知ってるんだけど、
隊員の間は、隊長が言った通りのお手伝いをお願いします!
1のボタンを押してくださいと言ったら、開や閉は触らずに、1だけ押してください!」
長男「わかりました!(^O^)/」
ありがとう乗りやすいこうすけ隊員(笑)
こうして無事におじいちゃんの家に着くことができた。
私 「お疲れさまでしたこうすけ隊員!無事に到着できました。これにて解散します!」
長男「(^^)…でもぼく疲れてないからお疲れさまって言ってほしくない。」
はいはい…


あくる日、おじいちゃんの家からひいおじいちゃんの家に行くときも
この隊員作戦でノリノリで移動することができた。
このときの隊長は、おじいちゃんにお願いをした。
私 「こうすけ隊員!これからひいおじいちゃんのお家に着くまでは、おじいちゃんが隊長です!おじいちゃんの言うことをよく聞いてください!」
こうすけ「わかりました!(`_´)ゞ」
なんと敬礼までしてくれた。


長男は任務があると輝くタイプのようだ。
お手伝いも大好きだし、弟のお世話も大好きだし、
いちメンバーとしての任務も喜んで担ってくれてよかった。
隊長と隊員は役割分業であって、ほんとうに横の関係だということがわかった。
これからも家事・育児隊長として隊員の養成に尽力します。
きっと隊員1号が隊員2号の養成を手助けしてくれることでしょう。

# by Inahoadler | 2016-08-09 15:35

重厚長大

外でたくさん激しく遊ぶ長男は、出かけるとどこかにけがをする。
でもけがをしても泣かないし、必ず「痛くなかったよ」と言う。

ひざにけっこうなケガをしたときに「これは痛かったんじゃない?大丈夫?」と聞くと、
「痛くないよ。大丈夫。」と、足をひきずりながらがまんしていた。
その日お風呂場で「しみて痛いからお風呂には入らない。」と言って
長男は片足立ちをして体を洗い始めたが、
しみて痛いと言っているのは、ひざではなくて足の裏らしい。
「え?足の裏にもケガしたの?」
「うん。貝殻みたいなので切ったみたい。」
「えー?ひざのケガ見せてくれたときに教えてよ。」
と言って足の裏を見ると、けっこう深い切り傷があった。
「あのね、お母さんはこうすけが大事だから、ケガをしてほしくないの。
 もしケガをしたら、早く治るように手当をしたいの。だからケガをしたらすぐに教えてくれる?
 ケガをほっておいて、膿んだりするとなかなか治らなくなっちゃうからね。」
「うん・・・」
少し強い語気になってしまったけれど、私の気持ちは伝わったようだった。

次の日の朝、長男は早くに目覚めて、ひとりで人体のしくみ図鑑を熱心に読んでいた。
「あのねお母さん、皮膚は、薄い皮が何枚も重なってできているんだよ。
 それでぼくのケガも、新しい皮膚ができてきたんだけど、なんかふくらんできちゃった・・・。」
見ると、ひざのケガから膿みが出て、水ぶくれもできている。
「こうすけ、またケガ触っちゃったの?これ、とびひになっちゃってると思うよ。
 皮膚科に行かなきゃ。」
「そっかあ。触るつもりはなくて、どうなってるのかなって見てただけなんだけど。
 とびひ?前にもなったよね。」
「うん・・・お願いだからケガしたところ触らないでね。」
私は知っている。彼は観察をしたりかさぶたをはがしたり、よくケガを触っている。
そして多分・・・
「もしかしてこうすけ、この水ぶくれをどうしたらいいか調べようと思って、
 体の図鑑読んでたの?」
「うん!・・・なんでわかったの?」
・・・ケガを痛いと言わない。ケガの心配をされたくない。ケガを観察したい。
強いことが大事なんだ。長男は。



旅行先や帰省先のさまざまな食卓で、
「これはちょっと辛いから大人だけね」というお料理が出されることがあると、
必ず長男は「ぼく辛いの食べれるよ!だってわさびも食べれたし、トウガラシも食べれるようになったし!」
と、辛い物を食べられるアピールをする。
それでその辛いお料理を食べさせてもらえる場合もあれば
食べさせてもらえない場合もあるけど、そういうときも
「ぼくほんとは辛いのも食べれるんだけどね、まあいいよ。」とアピールを忘れない。
彼の中で辛い物を食べられるというのは、男らしさの象徴らしい(笑)
仲良しの男友だちの誰がわさびを食べられて、誰がトウガラシを食べられるか、
何度も話してくれるし、
お父さんの方が辛いの食べれるんだよね。お母さんは辛いの少ししか食べられないよね。
と嬉しそうに話す。


重たい荷物を持てるのは誇り。
長旅でも疲れないのが自慢。
だから「重たくない?」とか「疲れてない?」とか聞いても、
必ず「重たくないよ!」「疲れてない!」という返事が返ってくる。
こちらはあなたの心配をして聞いているのですが・・・
長男は誰に聞かれても、殊勝な返事をする。
移動を終えて「おつかれさま」とねぎらうと、
「ぼく、疲れてないからおつかれさまって言ってほしくない」と不機嫌になる。
それ、疲れてるから不機嫌なんじゃないのかい?
ただのあいさつなのに、やりにくいなあもう・・・(^^;;)


背が高くなったのが嬉しい。
体重が増えたのが嬉しい。
高く跳べるようになったのが嬉しい。
速く走れるようになったのが嬉しい。
高くまで登れるようになったのが嬉しい。
側転や逆立ちがだんだんできるようになってきたのが嬉しい。
おすもうが強くなってきたのが嬉しい。
・・・
そうだね、男の子なんだね。
強い、大きい、重い、速い、辛い、高い、長い、
そういう形容詞がだいじなんだね。
恐竜ならティラノサウルス、動物ならライオン、昆虫ならカブトムシ。
君の好きなものはもちろんそうだよね。


我慢強くて、大きいものになりたいという彼のマッチョ思考は、
私は好きだ。
そんな彼に私が学んでもらいたいことは、余裕を残して見積もること。
長男は限界まで頑張るんだろうし、その限界も多分記録更新していくんだろうけど、
自分の今の実力はどのあたりかなって考えてほしいし、
余力を残して新記録に挑んでほしい・・・。
ああでも私は5歳児相手になんて無謀なことを望んでいるんだろう。
だいたい、こういう人は余力を残さず限界までやりきることに快感を感じるんだろうし。
・・・。

うん。困ったことが起きたときに、必要であれば彼のサポートをさせてもらおう。
その他は、彼の好みのやり方に任せよう。
長男は「助けなんていらない」って言いたいだろうけど、
人は助け合って生きていくんだということを学んでもらえるように、
上手につきあっていきたい。
助けが必要なときに求められるように、
そしてそれは弱いことじゃないんだとわかってもらえるように。



# by Inahoadler | 2016-08-03 01:26

5歳児に相談

最近私は困ったことがあると、まず5歳の長男に相談することにしている。
なぜなら私の困りごとはたいてい、
ライフタスクに対してアドレリアンとして振る舞うにはどうすべきかということであって、
それはアドレリアンの先輩の意見を聞くのが一番参考になるからだ。


ある日
私 「あの、こうすけさん、相談したいことがあるんですが・・・」
長男「どうしたの?相談したいことってなあに?(^^)」
私 「お母さんが時々『お母さんの意見を言ってもいいですか?』って聞くことあるでしょ、
   こうすけはそういうときどう感じる?」
長男「んー・・・だいじなお話なのかなって思うから、聞こうって思うよ。」
私 「そうなんだ!お母さんのお話はだいじなお話だって思ってくれてるんだね。ありがとう。
   でも時々『言わなくていい』って言うこともあるけど、あのときはどう思ってるの?」
長男「あ、それは、いやなこと言われそうだから、言わなくていいって思うの。」
私 「そうなんだ(笑)いやなこと言われそうっていうのわかるんだね。
   ・・・それでも、お話聞いてほしいんだけどって言われたら、どうする?」
長男「そうだなあー・・・。だいじなお話だったら聞くよって言う。」
私 「わあ、なるほどね!だいじなお話はこうすけは聞きたいんだ?」
長男「うん。だいじなお話は聞いておいた方が役に立つからね。」
私 「そうかあ。役に立つから聞きたいんだ。こうすけはえらいねえ。
   教えてくれてありがとう。
   実はお母さんね、この前おばあちゃまから『私の意見を言ってもいいですか?』
   って言われて、私は『いいえけっこうです!』って断ったんだけど、
   また『私の意見を言ってもいいですか?』ってメールで言われたの。
   それで、なんてお返事したらいいかなあって困ってるんだけど・・・」
長男「そうなんだ。それはだいじなお話じゃないの?」
私 「・・・だいじなお話だと思う・・・(^^;;;)
   ・・・でもね、お母さんは、おばあちゃまと1対1なら、お話聞こうといつも思えるの。
   このメールはいろんな人が読んでいて、それで、いろんな人の前では聞きたくなくて、
   2人のときにそっと聞きたいんだよね〜」
長男「じゃあ・・・」
私 「そうだね、2人のときに聞かせてほしいですって言えばいいんだね!」
長男「うん、それがいいと思うよ。」
私 「ありがとう!助かった!
   これからも相談事があったらこうすけに聞くわ!」
長男「いいよ!」

長男、よきアドバイザーです。
というか、私より処世術に長けているという意味では大人です・・・。
相手に嫌な思いをさせる必要もないし、
自分の嫌なことをがまんする必要はなくて、自分の許容できる条件を提示する。
目標の一致のために必要な過程ですね。     



またある日
私 「こうすけさん、また相談したいことがあるんだけど、いい?」
長男「いいよ!どうしたの?」
私 「こうすけは、お友だちと『みんなでこれで遊ぼう!』って言ったときに、
   『それはやだ!そうじゃなくてこれで遊ぼう!』ってお友だちに言われたとしたら
   どうする?」
長男「ん〜・・・まずは、お友だちの言った遊びをするかなあ。」
私 「!そうなんだ!」
長男「それで、次の日に、またぼくの遊びたかった遊びをしたらいいから。」
私 「はあ〜なるほどね。
   ・・・でももし、次の日もこうすけのしたい遊びはいやだって言われたらどうする?」
長男「それなら、別の遊びをするかな。また次の日にぼくのしたい遊びをしたらいいし。」
私 「そうなんだ。こうすけはいいねえ・・・。
   でもそうしていたら、ず〜っとこうすけのしたい遊びができないかもしれないね?」
長男「・・・あ!そういうときは、Mちゃんと遊ぶ!
   あのね、Mちゃんはね、自分がしたいことがあっても、
   すぐにお友だちのしたい遊びを、いいよって言ってきりかえてくれるの。
   きりかえが素早いの。だからぼくはMちゃんと一緒に遊ぶよ(^^)」
私 「そうなんだ!Mちゃんっていいお友だちだね(^^)
   そっかあ、自分のしたい遊びで遊んでくれるお友だちを見つけたらいいんだね。」
長男「そうだよ〜」
私 「なるほどね〜。こうすけはお友だちと仲良く遊ぶ方法をよく知っているんだね。
   ・・・あ〜やりたいことだけやってちゃだめだね。やらなきゃいけないことをやらなきゃね。」
長男「そうだよ。やらなきゃいけないことをやらないとだめなんだよ。」
私 「・・・ですよね〜。ありがとうございます・・・。」



仕事やお母さんたち付き合いや自助グループなど、色々な場面で、
私は私のやりたいことややりたい方法が強固にあるんだけれど、
どれもが私の望み通りに運ぶわけはなく。
でも大事なことは、私がやりたいようにすることではなくて、
その仕事なりお付き合いなりグループ運営によって目標を達成できるかどうか、ですよね。
目標というのも様々だけれど、すべてに共通しているのは
その場に所属ができているか、その場に貢献できているか、
その場でよい人間関係が築けているか
ということなので、
長男が言うように、お友だちと仲良くするためにはまずお友だちの意見を聞いてみる
ということが必要なのだと思った。
お友だちと仲良くするために、長男は自分のやりたいことを抑えようって思えるんだってわかって、
私はたいへん驚いた。
そしてますます尊敬するようになった。

もはや人間関係においては、私の方が教わることが多いような気がする。
だって彼は、いつも協力的な構えで生きているから。
アドレリアンの先輩の意見は聞いてみるもんです。



# by Inahoadler | 2016-05-25 15:22

共に生きていく

幼稚園から母の日のプレゼントを持って帰ってきた長男。
今年はおかあさんの似顔絵と、メッセージと、紙で作ったカーネーションと、
おてつだい券と、その券を入れる袋とが一体となった壁掛けを作ってくれた。
年々絵も上手になって、手先も器用になっているのがわかる。
「おかあさんが喜ぶかなって思っていっしょうけんめい作ったんだよ」
と言ってくれる長男がかわいらしくてしかたがない。

嬉しいな〜どんな券があるのかな、と言って券を一枚一枚みていると、
「なんでもおてつだいけん」
私  おお、便利な券だね。ありがとう。
長男 これはね、先生が書いてくれたんだよ。
「かたもみけん」
私  へえ、ありがとう。・・・これも先生が書いてくれたの?
長男 ううん、これはKくんが書いてくれたの!
私  そうなんだ、Kくん字書くの上手なんだね〜
「あらいもけん」?
「おろりけん」?? なんだなんだ?
長男 あ、これは、「あらいものけん」と「おりょうりけん」だよ。
   Kくんちょっとむずかしかったんだね。でもわかるでしょ。
私  そうなんだ!ありがとう(^^)
   Kくんに書いてもらってよかったね〜
長男 うん!字書ける子は自分で書いてもいいよって言われて、
   ぼくは書けないからKくんに書いてもらったんだ。
   ・・・これっていいことだと思う?
私  すごくいいことだと思うよ。Kくんも喜んで書いてくれたんじゃない?
長男 うん、いっしょうけんめい書いてくれたんだ。ぼくもうれしかった。
私  よかったねえ。たすけあってるんだね!
長男 この券を入れる袋はね、Sちゃんに教えてもらったの。
   ぼくがお休みしてたときにみんな作ったから。
私  そうなんだ。よかったね。Sちゃんも喜んで教えてくれたんじゃない?
長男 そうだよ、こうだよ〜って教えてくれた!
私  いいねえ〜いいお友だちだね〜!


お友だちと助け合っている様子がよくわかって、とても嬉しかった。
長男は友だちを助けるのが好きなのは知っていたけれど、
こうやって手助けを求めることもちゃんとできるんだ。
もうこの子は1人でちゃんとやっていけるなあと思った。
最近特殊講義と演習「共同体感覚」とアドラー心理学秘訣講座を受講したからなのか、
なんだか私は長男に対して、漠然と不安に思う気持ちが消えてしまったようだ。


この券のおかげもあってか、ますますお手伝いにやる気を出した長男は、
毎晩の夜ご飯の準備をよく手伝ってくれる。
メニューを考えてくれたり、野菜の皮をむいてくれたり、味付けの仕上げをしてくれたり・・・。
それから、少し前からお風呂掃除をするよ!と言ってくれるようになった。
「ありがとう、でも今お母さん忙しいから見てられないんだけど、
 やり方ってわかるの?」と言うと、
「大丈夫です!お母さんがしてるの見てたからできるよ!」と言って、きれいに洗ってくれた。
それから毎日喜んで洗ってくれて、
こんなに私楽してていいのかしら〜と思っていたら、やはり事件は起きるものだ。


長男 じゃあぼくこれからお風呂洗ってきまーす!
私  ありがとう!
長男 あ、しゅんすけがやってきました!どうしよう?
私  ああ・・・まあ、しゅんすけの服ぬれちゃってもいいから、
   いいよ、しゅんすけがいても気にしないでお風呂掃除してくださ〜い。
長男 わかった〜

それから2人がきゃあきゃあ言う声が聞こえてきた。
2人とも服ぬれているだろうけど、まあいいや。
もう風邪ひくような季節じゃないしね、仲が良くてけっこうなこと、と思っていた。
すると「わあ!おかあさん!しゅんすけが服着たままシャンプーしてます!!」
という長男の報告が・・・。
私は思わず笑ってしまった。
そうか次男はお風呂に入ってるつもりだったんだな。
自分でシャンプーしてみたかったんだ。

「それはたいへんや〜」と言ってお風呂場にかけつけると、
服を着たままシャワーの下に立ってずぶぬれになって、
楽しそうに髪を泡立てて洗っている次男の姿が!
なんか、次男は当然のことですという顔をしているのですが。
私 「おおお・・・ちゃんと洗っている!でもしゅんすけ、洗うのは服脱いでからだよ〜」
長男「しゅんすけがシャワーも出しちゃったんだ。ぼくの服もぬれちゃったよ」
私 「そう、しかたがないね。後でぬれた服は脱いでね〜」
長男「でもしゅんすけ上手にシャンプーしてるね!」
私 「ほんとにねえ・・・笑」
私はそれから次男の服を脱がして、髪をきれいに流して、
そのまま体も洗って、次男を乾かした。
その間に長男はお風呂場をきれいにしてくれた。
そして長男は「心をこめてお風呂わかすね」と言って、お湯もはってくれた。


今までだったら、私はもっと焦っただろうなと思う。
・・・一体私に何が起きたんだろう。
子どもたちの起こす事件が、物語の一場面のように思える。
彼らは悪いことをしようなんて気はまったくなくて、
私と一緒に生活している今という時間を、楽しんで生きているんだと思える。
その結果いろいろなことが起きるわけであって、
私はそのいろいろに驚いたり困ったりするけれど、それも幸せだなあと思える。




# by Inahoadler | 2016-05-11 15:03