重厚長大

外でたくさん激しく遊ぶ長男は、出かけるとどこかにけがをする。
でもけがをしても泣かないし、必ず「痛くなかったよ」と言う。

ひざにけっこうなケガをしたときに「これは痛かったんじゃない?大丈夫?」と聞くと、
「痛くないよ。大丈夫。」と、足をひきずりながらがまんしていた。
その日お風呂場で「しみて痛いからお風呂には入らない。」と言って
長男は片足立ちをして体を洗い始めたが、
しみて痛いと言っているのは、ひざではなくて足の裏らしい。
「え?足の裏にもケガしたの?」
「うん。貝殻みたいなので切ったみたい。」
「えー?ひざのケガ見せてくれたときに教えてよ。」
と言って足の裏を見ると、けっこう深い切り傷があった。
「あのね、お母さんはこうすけが大事だから、ケガをしてほしくないの。
 もしケガをしたら、早く治るように手当をしたいの。だからケガをしたらすぐに教えてくれる?
 ケガをほっておいて、膿んだりするとなかなか治らなくなっちゃうからね。」
「うん・・・」
少し強い語気になってしまったけれど、私の気持ちは伝わったようだった。

次の日の朝、長男は早くに目覚めて、ひとりで人体のしくみ図鑑を熱心に読んでいた。
「あのねお母さん、皮膚は、薄い皮が何枚も重なってできているんだよ。
 それでぼくのケガも、新しい皮膚ができてきたんだけど、なんかふくらんできちゃった・・・。」
見ると、ひざのケガから膿みが出て、水ぶくれもできている。
「こうすけ、またケガ触っちゃったの?これ、とびひになっちゃってると思うよ。
 皮膚科に行かなきゃ。」
「そっかあ。触るつもりはなくて、どうなってるのかなって見てただけなんだけど。
 とびひ?前にもなったよね。」
「うん・・・お願いだからケガしたところ触らないでね。」
私は知っている。彼は観察をしたりかさぶたをはがしたり、よくケガを触っている。
そして多分・・・
「もしかしてこうすけ、この水ぶくれをどうしたらいいか調べようと思って、
 体の図鑑読んでたの?」
「うん!・・・なんでわかったの?」
・・・ケガを痛いと言わない。ケガの心配をされたくない。ケガを観察したい。
強いことが大事なんだ。長男は。



旅行先や帰省先のさまざまな食卓で、
「これはちょっと辛いから大人だけね」というお料理が出されることがあると、
必ず長男は「ぼく辛いの食べれるよ!だってわさびも食べれたし、トウガラシも食べれるようになったし!」
と、辛い物を食べられるアピールをする。
それでその辛いお料理を食べさせてもらえる場合もあれば
食べさせてもらえない場合もあるけど、そういうときも
「ぼくほんとは辛いのも食べれるんだけどね、まあいいよ。」とアピールを忘れない。
彼の中で辛い物を食べられるというのは、男らしさの象徴らしい(笑)
仲良しの男友だちの誰がわさびを食べられて、誰がトウガラシを食べられるか、
何度も話してくれるし、
お父さんの方が辛いの食べれるんだよね。お母さんは辛いの少ししか食べられないよね。
と嬉しそうに話す。


重たい荷物を持てるのは誇り。
長旅でも疲れないのが自慢。
だから「重たくない?」とか「疲れてない?」とか聞いても、
必ず「重たくないよ!」「疲れてない!」という返事が返ってくる。
こちらはあなたの心配をして聞いているのですが・・・
長男は誰に聞かれても、殊勝な返事をする。
移動を終えて「おつかれさま」とねぎらうと、
「ぼく、疲れてないからおつかれさまって言ってほしくない」と不機嫌になる。
それ、疲れてるから不機嫌なんじゃないのかい?
ただのあいさつなのに、やりにくいなあもう・・・(^^;;)


背が高くなったのが嬉しい。
体重が増えたのが嬉しい。
高く跳べるようになったのが嬉しい。
速く走れるようになったのが嬉しい。
高くまで登れるようになったのが嬉しい。
側転や逆立ちがだんだんできるようになってきたのが嬉しい。
おすもうが強くなってきたのが嬉しい。
・・・
そうだね、男の子なんだね。
強い、大きい、重い、速い、辛い、高い、長い、
そういう形容詞がだいじなんだね。
恐竜ならティラノサウルス、動物ならライオン、昆虫ならカブトムシ。
君の好きなものはもちろんそうだよね。


我慢強くて、大きいものになりたいという彼のマッチョ思考は、
私は好きだ。
そんな彼に私が学んでもらいたいことは、余裕を残して見積もること。
長男は限界まで頑張るんだろうし、その限界も多分記録更新していくんだろうけど、
自分の今の実力はどのあたりかなって考えてほしいし、
余力を残して新記録に挑んでほしい・・・。
ああでも私は5歳児相手になんて無謀なことを望んでいるんだろう。
だいたい、こういう人は余力を残さず限界までやりきることに快感を感じるんだろうし。
・・・。

うん。困ったことが起きたときに、必要であれば彼のサポートをさせてもらおう。
その他は、彼の好みのやり方に任せよう。
長男は「助けなんていらない」って言いたいだろうけど、
人は助け合って生きていくんだということを学んでもらえるように、
上手につきあっていきたい。
助けが必要なときに求められるように、
そしてそれは弱いことじゃないんだとわかってもらえるように。



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by Inahoadler | 2016-08-03 01:26
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